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あばばばば

芥川竜之介

店番の若い妻をなんとなく眺めていた男が、ある夜ふいに見た『母になる瞬間の強さ』に、可笑しさとさみしさを同時に味わう。
🏪 海軍学校の近くのなんでも売ってる店
保吉
すみません、マッチ1つください
👨‍🏫
🧔
主人
はい。これ持っていきなさい。今ちょうど切らしてるので
保吉
いや、無料でもらうの逆に気まずいんだが
👨‍🏫
🧔
主人
お金いりません。いらない物まで買わなくていいです
※親切なのに態度がずっと塩。サービス業の顔ではない
🧒
小僧
旦那、マッチそこにありますぜ
保吉
あるんかい。じゃあそれ買います
👨‍🏫
※保吉、心の中でだけ大勝利
※その後、保吉は通勤ついでにこの店の常連に。店内の配置も主人の咳も営業トークも全部覚えた
🛒 初夏の朝、いつもの店
保吉
朝日を2つください
👨‍🏫
👩
はい……ええと、これです
保吉
いやそれ三笠。朝日じゃない
👨‍🏫
👩
あっ……ほんとだ。すみません
※急に出てきた新キャラ。猫っぽい顔で、めちゃくちゃ初々しい
🧔
主人
ほら、朝日はこっちです
🧔
主人
マッチは?
👩
あ、はいっ
👩
どうもすみません……
※主人と女、どうやら夫婦らしい。急に店の空気がやわらかくなる
☀️ 残暑の午後。保吉、ココアを買いに来る
保吉
Van Houtenある?
👨‍🏫
🧒
小僧
今あるのはこれだけです
保吉
いや、あそこに別の缶あるじゃん
👨‍🏫
🧒
小僧
ええ、あれもココアです
※会話がかみ合ってるようで全然かみ合ってない
保吉
この銘柄、たまに中で虫わくんだよね。しかもまあまあ大きいの
👨‍🏫
👩
えっ、それは困ります……どこかに別のありませんかね
🔍 女と小僧、店じゅう捜索開始
保吉
子どもとかお腹こわすしね。うちの家内も前に大変で
👨‍🏫
※保吉、独身である。急に家庭を生やすな
👩
どうも見つからないみたいで……
※保吉、一瞬だけよからぬ気分になるが、ギリギリで踏みとどまる。理性えらい
保吉
じゃあ別のやつ1缶ください
👨‍🏫
☎️ 秋の午後。保吉、店の電話を借りる
保吉
……つながらない
👨‍🏫
保吉
……まだつながらない
👨‍🏫
※20分ベルを鳴らし続ける男。もはや執念
🚲 店先では主人が自転車修理中
👩
さっきね、ゼンマイコーヒーありますかって聞かれたんですけど……あれ何ですか?
🧔
主人
玄米コーヒーの聞き間違いだろ
👩
ああ、そっちか。ゼンマイって山菜のほうかと思った
※保吉、背後で聞いてしまい、なんか尊い空気を感じる
保吉
あ、じゃあそのニシンください
👨‍🏫
👩
は、はいっ。ニシンですね
※聞かれてたと気づいて真っ赤。保吉もちょっとだけ神妙
❄️ 年が明けると、女の姿が消える
保吉
最近、あの人いないな……
👨‍🏫
※気になる。でも主人に聞くほどでもない。その距離感が妙にリアル
🌙 二月の終わりの夜、店の前
👩
あばばばばばば、ばあ!
👶 女は赤ん坊を抱いてあやしている
保吉
あっ……そういうことか
👨‍🏫
👩
あばばばばばば、ばあ!
※もう前みたいに恥ずかしがる奥さんじゃない。完全に『母』モードである。強い
保吉
……なんか、いいな
👨‍🏫
※少しさみしい。でもちゃんと祝福したくなる。この感じが妙にしみる
  • 人は立場でこんなに変わる
  • 日常の観察がじわじわ刺さる
  • 娘から母への変化がまぶしい

芥川竜之介『あばばばば』のあらすじ

保吉は、通勤途中に立ち寄る雑貨店の無愛想な主人を以前から知っていた。ある日、店番に出るようになった若い妻と顔を合わせるようになり、その不慣れで恥ずかしがりな様子に親しみを覚えていく。保吉は店でのちょっとしたやりとりを重ねながら、夫婦の暮らしに静かな温かさを感じ取る。やがてしばらく姿を見せなくなった妻は、赤ん坊を抱いた母として現れ、保吉はその鮮やかな変化に思わず見入ってしまう。

あばばばば』の作者について

芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。古典や説話をもとにした作品で有名だが、晩年には『保吉もの』と呼ばれる、身辺の観察や心理の揺れを繊細に描く短編も多く残した。『あばばばば』はその一篇で、何気ない日常の中にある可笑しみと、人間を見る目の鋭さがよく表れている。

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