闇中問答
夜の闇の中で自分を責める声と向き合い、愛と罪と創作のあいだで揺れる心の奥をのぞき込む一篇。
🌑 真夜中、脳内会議スタート
僕
誰だよ、さっきから頭の中で詰めてくるの
🖋️
🌫️
或声
お前、思ってた人間像と全然ちがうんだが
僕
それはそっちの見込み違いでは?
🖋️
🌫️
或声
しかもその誤解、お前もまあまあ育てたよな
僕
いや、盛った覚えはない
🖋️
🌫️
或声
で、お前は美しいものが好きなの? それとも一人の女が大事なの?
僕
両方だよ。人は一個しか好きになれない仕様じゃないだろ
🖋️
※開幕から哲学と恋の二刀流。寝る前にやる話ではない
🌫️
或声
欲張りすぎ。結局どっちつかずなんだよ
僕
徹底って、体調悪いのに無理して健康法続けることじゃないからな
🖋️
🌫️
或声
強がるなよ。本当は社会の目が痛くて仕方ないんだろ
僕
そりゃ痛い。でも黙ってたら押しつぶされる
🖋️
📚 話題、読者と世間へ
🌫️
或声
もう誰もお前の味方しないかもな
僕
木も水も本もあるし、未来の読者もいるだろ
🖋️
🌫️
或声
未来の読者、今月の家賃払ってくれる?
僕
今の読者だってそんなに払ってくれないよ
🖋️
※文学、だいたい心は満たすが財布には厳しい
🌫️
或声
でもお前、自分を特別だと思ってるだろ
僕
特別というより、矛盾だらけで進行中なだけだ
🖋️
🌫️
或声
その傲慢さ、身を滅ぼすぞ
僕
それは自分でもちょっと思ってる
🖋️
⚖️ 話題、罪と責任へ
🌫️
或声
お前、自分のしたことを正当化しすぎじゃない?
僕
全部正しいなんて言ってない。もう、あきらめて背負うしかないってだけだ
🖋️
🌫️
或声
責任は?
僕
生まれつき、環境、偶然、それに自分。責任はある。でも全部を一人で作ったわけでもない
🖋️
🌫️
或声
うわ、そこ切り分けるんだ
僕
切り分けないと、自分を裁く声が多すぎて耳が壊れる
🖋️
※セルフ反省会なのに、参加者が全員つよい
🌫️
或声
じゃあ、お前は悪人? 善人? ただの道化?
僕
そのへん全部、少しずつ入ってる気がする
🖋️
🫀 話題、苦しみの正体へ
🌫️
或声
でもさ、お前には勇気あるよ。生き残ってるし
僕
勇気じゃない。神経で持ってるだけだ
🖋️
🌫️
或声
良心があるから苦しむんだろ
僕
立派な良心というより、敏感すぎる神経だよ
🖋️
🌫️
或声
芸術家なら何しても許される、って逃げ道は?
僕
ない。書く人間でも社会の一人だし、自分の十字架は自分で持つ
🖋️
🌫️
或声
それでもお前、まだ書くの?
僕
書くしかない。やめても頭の中がもっと騒がしくなるだけだ
🖋️
✒️ 話題、作家としての自分へ
🌫️
或声
じゃあ死ぬまで書け
僕
うん、その予定。ほかに手がない
🖋️
🌫️
或声
お前、前より少し軽くなった?
僕
身軽にはなった。でもそのぶん、一生ぶんの荷物を肩に乗せた感じ
🖋️
🌫️
或声
新しい自分になれるかもな
僕
中身は同じだよ。皮が一枚むけるだけだ
🖋️
🌫️
或声
自分のこと、わかってるようでわかってないんだな
僕
むしろ、見えてない部分のほうが広い。心の中って、暗い大陸みたいなもんだ
🖋️
※急にスケールが世界地図。脳内なのに地平線が出てきた
🌫️
或声
じゃあ俺が誰かわかるか?
僕
平和を壊してくるやつ。人を真ん中からずらす力だ
🖋️
🌫️
或声
ほう
僕
名前はうまく言えない。でも人を突き動かして、苦しませて、それでも書かせる何かだ
🖋️
🌫️
或声
なら今後も気をつけろ。俺、また来るから
🌬️ 声が消える
僕
……自分よ、ちゃんと踏んばれ。うぬぼれるな、でも縮こまるな
🖋️
僕
風に揺れても、根っこまでは手放すな
🖋️
- ▶自分との対話は一番しんどい
- ▶才能は祝福でもあり重荷でもある
- ▶平和を壊す声ほど創作を動かす
芥川竜之介『闇中問答』のあらすじ
作中の「僕」は、闇の中から語りかける「或声」と激しい問答をくり返す。声は、恋愛、社会的非難、家族への責任、作家としての誇りと弱さを次々に突きつけ、「僕」は自己弁護しながらも、自分の矛盾や苦しみを隠しきれない。問答はやがて、良心や勇気の話を越えて、創作を突き動かす見えない力の正体へと向かっていく。最後に「僕」は一人に戻り、自分自身を立て直そうとする言葉を自らに言い聞かせる。
『闇中問答』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『河童』などで知られる。鋭い知性と強い自己分析をあわせ持ち、晩年には不安や神経の消耗を色濃く反映した作品を多く残した。『闇中問答』はその晩年の内面が強くにじむ遺稿で、道徳、芸術、自己嫌悪、創作衝動がせめぎ合う切実な独白として読まれている。
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