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一夕話

芥川竜之介

洗練された優しさでは満たされない心が、危うくても激しい情熱へ引かれていく人間の本音を突きつける。
🌧️ 六月の雨の夜、同窓会という名の飲み会
藤井
いやもうさ、この頃ほんと油断できないんだよ。あの和田まで芸者と知り合いなんだぞ
⚖️
※開始3秒で友人の私生活を酒のつまみにする弁護士
💼
飯沼
それ、君が連れてった店で会ったとか?
藤井
失礼だな。僕が和田をそんな所へ案内するわけないだろ
⚖️
藤井
先月さ、和田と浅草行ったんだよ。そしたらなぜかメリーゴーラウンドに乗る流れになって
⚖️
🎓
野口
大人が? 木馬に?
藤井
そう。僕は赤い馬、和田は白い馬。回り出したら尻は跳ねるし目は回るし、人生の試練すぎた
⚖️
※中年男性たち、急に遊園地で哲学を始める
藤井
で、外にすごく上品な女の人が立っててさ。こっち見て、にこっと笑うんだよ
⚖️
🔧
木村
お、藤井モテ期?
藤井
と思うじゃん? 三周目で気づいた。あれ、僕じゃなくて和田に笑ってた
⚖️
🩺
和田
話盛るなよ
藤井
しかもお前、白い木馬の上でめっちゃうれしそうに会釈してたぞ
⚖️
💼
飯沼
じゃあ今夜の会費、和田持ちで決定?
🩺
和田
ちがう。その人、友だちの相手だったんだよ
📝
その友だちって、若槻って人? 俳句やってる
🩺
和田
そう、その若槻。今はもう別れてるけどな
🍶 卓上、ちょっと静かになる
🔧
木村
お、急に本題っぽい
🩺
和田
その女、小えんっていうんだ。前に病院へ来た時、若槻に頼まれて少し世話したことがある
🩺
和田
で、この前会ったら、若槻とは別れたって言う。でも理由を聞いても、はっきり言わないんだ
💼
飯沼
なんで別れたの?
🩺
和田
昨日、若槻本人の家で聞いた。相手に別の男ができたらしい
🎓
野口
よくある話…でもなさそうだな、その間の取り方
🩺
和田
相手がね、よりによって荒っぽい語り芸の男なんだよ。若槻とは真逆
※丁寧で文化系の男から、熱量高めで危なっかしい男へ。恋は履歴書を見ない
🩺
和田
若槻は小えんに、読み書きも芸事も、いろいろ教えてた。かなり面倒を見てたんだ
🩺
和田
でも小えんは、それを愛情じゃなくて、距離のある親切だと感じてたんじゃないかと思う
🔧
木村
つまり、ちゃんとしてるけど熱が足りないってこと?
🩺
和田
たぶんな。若槻は立派だし趣味もいい。でも、相手を焼きつくすような気持ちは薄かったのかもしれない
🩺
和田
人はさ、きれいに整えられた気持ちより、乱暴でも強い気持ちに引っぱられることがある
藤井
つまり木馬から飛び降りたってわけか。幸福つかみに
⚖️
🩺
和田
そう。危ないし、痛いかもしれない。でも本気で生きるって、そういうことかもしれないだろ
🩺
和田
百人の気の利いた男より、一人の切実な人間のほうが重い。僕はそう思う
😴 熱弁の横で、藤井は寝落ち
※名演説の観客が最初に離脱するの、飲み会あるあるすぎる
  • 上品さと情熱は別もの
  • 人は理屈より熱に動く
  • 幸福には飛び降りる勇気もいる

芥川竜之介『一夕話』のあらすじ

雨の夜、旧友たちが集まった席で、弁護士の藤井は医者の和田が芸者の小えんと知り合いだった話を面白おかしく語り出す。やがて和田は、小えんが実業家の若槻に手厚く面倒を見られながらも別れ、まったく別のタイプの男へ向かった事情を打ち明ける。若槻は教養も趣味もある魅力的な人物だが、和田はそこにある冷たさや距離を感じ取り、小えんの選択にある切実さを考え始める。酒席の雑談はいつしか、愛情の本気さや人生の価値をめぐる議論へと変わっていく。

一夕話』の作者について

芥川龍之介(1892-1927)は大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。古典をもとにした作品だけでなく、近代的な知性や皮肉を生かした会話劇風の短編にもすぐれ、この作品でも都会的な教養人たちの空気と、その裏にある感情のずれを鮮やかに描いている。大正期の都市文化や教養主義への距離感が、この作品を読むうえで重要な背景になっている。

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