開化の殺人
愛する人を救いたいという善意が、いつの間にか嫉妬と自己欺瞞へ変わっていく怖さに引きずり込まれる。
📜 ある子爵の家に、ヤバめの遺書が届く
※開封した瞬間、空気が一気に重くなるタイプの手紙
北畠義一郎
子爵、夫人。まず言う。私は正気だ。ほんとに。
🩺
北畠義一郎
そして私は、人を殺した。しかも、もう一人殺しかけた。
🩺
🎩
本多子爵
いや告白の出だしが重すぎる
北畠義一郎
昔から、いとこの明子をずっと好きだった。かなり本気で。
🩺
💜 藤の花の下の思い出
北畠義一郎
子どもの頃、あの子が片足で立ってるの見てさ。もう心を持ってかれた。
🩺
※恋の始まりが急に芸術鑑賞みたいになる
北畠義一郎
でも何も言えないまま、私はイギリス留学へ。帰ってきたら――
🩺
北畠義一郎
明子、満村恭平の妻になってた。
🩺
👒
明子
……
北畠義一郎
そのときは本気で人生終了しかけた。
🩺
北畠義一郎
でもな、時間がたって、せめて明子の幸せを願おうと思ったんだ。
🩺
北畠義一郎
で、夫の満村に会ってみた。人物を確かめようと。
🩺
🎆 花火の夜、宴席で初対面
💰
満村恭平
酒!女!俺が主役!
※品のなさが花火より派手
北畠義一郎
見た瞬間わかった。こいつはだめだ。明子を任せていい相手じゃない。
🩺
北畠義一郎
調べたら、ひどい話が山ほど出てきた。女遊びも、家での扱いも最悪。
🩺
🎩
本多子爵
実は……明子とは昔、結婚の約束まであったんだ。
北畠義一郎
は? それを満村が金でねじ曲げたのか。
🩺
※ここで北畠の中の理性が、だいぶ危うくなる
北畠義一郎
私は思った。あいつを消せば、明子も救われる。本多も報われる。
🩺
北畠義一郎
医者の知識で、自然な病気に見える方法もある。
🩺
💊 小さな丸薬
※便利な知識は、使い道を間違えると一気に地獄
北畠義一郎
芝居の帰り、体調の悪そうな満村に薬を勧めた。
🩺
💰
満村恭平
お、名医の薬? じゃあ飲むわ
🚃 帰りの馬車
北畠義一郎
そのまま、満村は急死した。表向きは脳の病気ってことになった。
🩺
※完全犯罪っぽく見えても、心までは静かにならない
北畠義一郎
最初の数か月は、正直、勝った気でいた。
🩺
北畠義一郎
明子も少し元気を取り戻したし、本多ともよく会うようになった。
🩺
北畠義一郎
……なのに、ここからが地獄だった。
🩺
👒
明子
本多さんといると、少し安心します。
🎩
本多子爵
これからは穏やかに過ごしてほしい。
北畠義一郎
待て。なんで私はまた苦しい? 明子が幸せになるなら、それでよかったはずだろ。
🩺
※理想で塗った動機の下から、本音がじわじわ出てくる
🚗 ある夜、三人で馬車に乗る
🎩
本多子爵
ちょっと胃が痛くてね
北畠義一郎
え……ポケットに、あの丸薬が入ってる……
🩺
北畠義一郎
なんで持ってきた? 偶然か? いや、ほんとに?
🩺
※自分がいちばん信用できない瞬間、かなり怖い
北畠義一郎
私は気づいた。本多を殺したくなってる。
🩺
🎩
本多子爵
急に怖いこと言うな
北畠義一郎
明子を救うためと言いながら、結局いちばん救いたかったのは自分だったのかもしれない。
🩺
北畠義一郎
だから決めた。本多を殺さないために、私が死ぬ。
🩺
👒
明子
そんな……
北畠義一郎
私の正しさも、良心も、愛も、全部ぐちゃぐちゃだ。もう自分で始末するしかない。
🩺
🌧️ 雨の夜、新富座へ向かう
北畠義一郎
あの男を殺したのと同じように、今度は私が馬車の中で終わる。
🩺
※因果がきれいに閉じるの、文学としては見事だけど当人には全然うれしくない
北畠義一郎
子爵、夫人。憎むなら憎んでくれ。少しでも哀れむなら、それも受ける。
🩺
🎩
本多子爵
……君、そこまで一人で抱えていたのか
- ▶善意はときに欲望と見分けがつかない
- ▶理性の仮面の下にも嫉妬は潜む
- ▶罪は隠せても自分の心からは逃げにくい
芥川竜之介『開化の殺人』のあらすじ
作品は、医師・北畠義一郎が本多子爵夫妻へ宛てた遺書という形で進む。北畠は若い頃から従妹の明子を愛していたが、彼女は実業家の満村恭平に嫁いでしまう。やがて満村の放蕩ぶりと明子への冷たい仕打ちを知った北畠は、彼を排除する決意を固め、医師としての知識を使ってその計画を実行する。その後、明子と本多子爵が結ばれようとする中で、北畠は自分の動機の奥にある本心と向き合わされ、追い詰められていく。
『開化の殺人』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。古典や海外文学の技法を取り入れながら、人間心理の皮肉や不安を鋭く描いた。『開化の殺人』は、文明開化の時代風俗を背景にしつつ、近代的な理性と内面の欲望が衝突する不気味さを、告白体で濃密に描いた作品である。
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