往生絵巻
正気と狂気の境目でただひたすら救いを求める声が、見る者の判断そのものを揺さぶってくる。
🏘️ 町に、やたら声のでかい法師が出現
🧒
童
やば、なんか変な法師来た!みんな見て!
👩
鮓売の女
ほんとだ、太鼓たたきながら大声出してる
👴
薪売の翁
何て言ってるんだ?耳が遠くてわからん
👨🏭
箔打の男
『阿弥陀さまー、おーい!』って呼んでるっぽい
👴
薪売の翁
え、それはだいぶ危ない感じでは
👵
菜売の媼
いやいや、すごいお坊さんかもしれないよ。とりあえず拝んどこ
五位の入道
阿弥陀さまー!おーい!おーい!
🔔
🐕
犬
わんわん!
※町の評判、だいたい『変人』と『もしかして本物』で真っ二つ
⚒️
鋳物師
あれ、多度の五位殿じゃないか?
🎒
旅人
そうそう。急に弓矢捨てて出家したって聞いた
🧍
青侍
奥さんも子どもも泣いてるらしいぞ
🐟
干魚を売る女
いやそれ、残された家族からしたら全然きれいな話じゃないでしょ
👵
老いたる尼
でも昔はかなり荒っぽい人だったのに、よく心を入れ替えたものだねえ
👩
若き尼
ほんと怖い人だった。狩りばっかりで、弱い人にも容赦なかったし
🪶
乞食
今が出会いで助かったわ。前だったら矢が飛んできたかも
五位の入道
阿弥陀さまー!おーい!おーい!
🔔
※改心したのはいいが、呼びかけの圧が強すぎる
🌲 人声が消え、松風だけが鳴る道
五位の入道
阿弥陀さまー!おーい!おーい!
🔔
🧓
老いたる法師
御坊、どこへ向かってるんだい
五位の入道
西へ行く
🔔
🧓
老いたる法師
西って海だぞ
五位の入道
海でも関係ない。阿弥陀さまに会うまでは、ずっと西へ行く
🔔
🧓
老いたる法師
そんなに会えると思ってるのか
五位の入道
思ってるから呼んでる。昨日、説法を聞いて急に会いたくなった
🔔
🧓
老いたる法師
で、その後どうした
五位の入道
話してたお坊さんを押さえて、『阿弥陀さまどこ』って聞いた
🔔
🧓
老いたる法師
聞き方が力技すぎる
五位の入道
そしたら『西』って言った。だから西へ行く
🔔
※信仰の初動がだいぶ物騒
🌊 ついに海辺へ到着
五位の入道
海しかないな…でも、この向こうかもしれん
🔔
五位の入道
呼び続ければ、きっと返事はあるはず
🔔
五位の入道
返事がなきゃ、呼びながら死ぬまでだ
🔔
🌲 枯れ松によじ登る
五位の入道
阿弥陀さまー!おーい!おーい!
🔔
※ついに地上では足りず、高さで勝負し始めた
📅 七日後
🧓
老いたる法師
あの人、その後どうなったかと思ったら…
🧓
老いたる法師
うわ、木の上にいる。って、返事がない…
🧓
老いたる法師
食べ物も持たずに…ここで力尽きたのか
🌸 法師の口元に白い蓮の花
🧓
老いたる法師
えっ…口に白い蓮が咲いてる
🧓
老いたる法師
もしや、ただの物狂いじゃなかったのか…
🧓
老いたる法師
南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…
- ▶狂気に見えるものの奥に信仰がある
- ▶人は見た目だけでは測れない
- ▶救いは理屈を超えて現れる
芥川竜之介『往生絵巻』のあらすじ
町に現れた五位の入道は、金鼓を鳴らしながら「阿弥陀さま」と大声で呼び続け、人々から奇妙な法師として噂される。もとは荒々しい武人だった彼は、ある説法をきっかけに突然出家し、阿弥陀仏に会うためひたすら西へ向かう。道中で老いた法師に理由を語り、ついには海辺の枯れ木に登ってなお呼びかけをやめない。数日後、老法師が見つけたその亡骸には、常識では説明できないしるしが現れていた。
『往生絵巻』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。古典や説話をもとに、人間の心理や信仰、皮肉な現実を鋭く描く作風に特色がある。『往生絵巻』も中世的な宗教世界を借りながら、狂気と救済、他者のまなざしを緊張感のある語りで浮かび上がらせた作品である。
同じ著者の作品
このサイトのコンテンツは AI により生成されています。作品理解の「入り口」としてお楽しみください。