お律と子等と
病む母を囲んだ雨の日々の中で、家族それぞれの愛情と距離のずれがじわじわ胸に迫る。
🌧️ 雨の午後、家の空気がなんか重い
洋一
白秋っぽい歌、けっこう良くない?
🧑
※思春期の創作は、だいたい家族に見られたくない
👔
賢造
洋一、兄さんに電報打ってくれ。お母さんの具合がよくない
洋一
そんなに悪いの?
🧑
👔
賢造
急にどうこうとは言えんが、知らせておいた方がいい
🏪 店も家も、みんな落ち着かない
洋一
電報の文、どうしよう…『母病気、すぐ帰れ』で足りるか?
🧑
※短い文ほど、逆に不安がでかい
👵
浅川の叔母
お母さん、たいしたことないといいけどねえ
洋一
兄さん、ちゃんと帰ってくるかな…
🧑
🛏️ 病室。母は熱っぽく横になっている
🤍
お律
洋一、叔母さんにうなぎを取ってあげてね
洋一
え、今その話する?
🧑
🤍
お律
それでおしまい
※息子、遺言を覚悟して来たのに、まさかの気づかいメニュー指定
洋一
……泣くほどじゃない、泣くほどじゃないのに
🧑
🤍
お律
ばかだね
🌤️ 翌朝、少し回復したように見える
👔
賢造
慎太郎、今日帰ってくるかな
洋一
試験中かも。すぐは無理かもしれない
🧑
👔
賢造
お前も勉強しろよ。兄さんはもう大学生になるんだし
洋一
今それ言う?
🧑
※家庭のピリつきに、受験トークを足すとだいたい空気が悪化する
👵
浅川の叔母
あの看護婦さん、ちょっと感じ悪いんだよ。替えた方がよくないかね
洋一
じゃ、今すぐ電話しよう。そういうの早い方がいい
🧑
☎️ 家じゅうがバタバタし始める
🚕 午後、医者待ち。兄もまだ来ない
洋一
谷村先生、遅すぎない?
🧑
👔
賢造
もう一回電話するか…
🏃 洋一、通りへ飛び出して待つ
洋一
……兄さん!?
🧑
🎓
慎太郎
やあ。お母さん、どうした
洋一
悪くてさ。でも帰ってきてくれてよかった。早く行こう
🧑
※弟、ずっと不安だったぶん、兄の登場で一気に息を吹き返す
🩺 診察会議。空気が急に重くなる
👨⚕️
谷村博士
潰瘍だけじゃないですね。お腹の中で炎症が広がってます
🎓
慎太郎
入院は? すぐ動かせないんですか
👨⚕️
谷村博士
今は難しいです。今夜はかなりつらいでしょう
👔
賢造
……そうですか
※家族の希望、ここでかなり静かに削られる
🌙 夜。病室のうめき声が止まらない
🤍
お律
慎太郎、洋一に勉強するよう言ってね。お前の言うことは聞くから
🎓
慎太郎
……うん、言っておく
🤍
お律
今日は熱も下がったし、このまま良くなりそうだよ
※つらい本人だけが、家族を安心させようとしているのがしんどい
🤍
お律
演説? 今夜どこであるの?
🎓
慎太郎
えっ
👔
賢造
何もないよ。今日は休もうな
🌧️ 深夜から明け方へ。雨音だけが大きい
👘
美津
旦那様、お上さんがまたお呼びです
👔
賢造
今行く
🎓
慎太郎
何かあるたび父さんが呼ばれる…
※夫婦の長い時間は、こういう夜にいちばん見えてしまう
☔ 朝。母はほとんど眠れていない
🩺
戸沢
もう少しの辛抱ですよ
🤍
お律
先生、もうだめなんでしょう。手がしびれてきたから
🎓
慎太郎
そんなこと言わないで
🔥 少し静かになったように見えた、そのあと
👩⚕️
看護婦
どなたか来てください、早く…!
🎓
慎太郎
お母さん!
🤍 慎太郎が母を抱き上げる
🎓
慎太郎
お母さん、お母さん……
※呼びかけは届かない。それでも名前を呼ぶしかない朝がある
- ▶家族は近いほど、気持ちがすれ違う
- ▶日常は突然終わる
- ▶言えなかった思いほど残る
芥川竜之介『お律と子等と』のあらすじ
中学を卒業した洋一は、母お律の病状が悪化したため、兄の慎太郎へ帰宅を促す電報を打つ。家では父の賢造、姉のお絹、叔母、使用人たちが慌ただしく動くが、不安の中で家族の感情は少しずつ食い違っていく。やがて慎太郎も帰宅し、医師の診察によって病状の深刻さが明らかになる。雨の降り続く夜を越えた朝、家族が見守る中でお律は静かに最期の時を迎える。
『お律と子等と』の作者について
芥川龍之介は大正期を代表する作家で、『羅生門』『鼻』『河童』などで知られる。鋭い観察眼と心理描写に優れ、人間の不安や矛盾を短い作品の中に濃く描いた。この作品では、事件の大きさよりも、病人を囲む家族の微妙な空気や心の揺れに焦点が当てられており、芥川の繊細な家庭小説として読める。
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