お富の貞操
戦火の前夜、猫一匹をめぐる極限のやり取りの中で、理屈では割り切れない人間の気高さと不可解さが立ち上がる。
🌧️ 上野の戦い前夜。町は避難済み、家の中は真っ暗。
🐱
三毛
……
※猫だけが通常営業。人間社会の終末感、完全スルー。
🚪 台所の戸がそっと開く
🧔
新公
三毛、まだいたのか。明日は弾が飛ぶぞ。縁の下に避難しとけよ。
🧔
新公
俺も明日はどうなるかわからんしな。
※見た目はボロボロ、でも急に物騒な道具を点検し始める男。情報量が多い。
🚶♀️ そこへ若い女が戻ってくる
お富
うわっ、誰!?……って、新公?
👘
🧔
新公
どうも。雨宿りで勝手に上がってました。だいぶ図々しいのは認めます。
お富
認めるなら早く出てってよ。こっちは忘れ物取りに来たんだから。
👘
🧔
新公
こんな日に戻るって、よっぽど大事な物だな。金か?
お富
三毛。猫を迎えに来たの。
👘
🧔
新公
え、猫!?この状況で!?
※町じゅう避難してるのに、ミッションが“猫の回収”。優先順位が強い。
お富
おかみさんが泣いてるんだよ。三毛が置き去りだって。だから来たの。
👘
🧔
新公
猫一匹のために、若い娘ひとりで戻るのは危ないって発想はなかったのか?
お富
今さら何が危ないのさ。
👘
🧔
新公
例えば、ここにいる俺が妙な気を起こしたら?
お富
は?
👘
☂️ お富、傘で新公を連打
お富
生意気言うな!
👘
※会話の治安が一気に悪化。だが先に手が出たのはだいたい正論側。
💥 取っ組み合い、台所が大荒れ
🧔
新公
ちょ、強っ……!
お富
まだやる?
👘
🪒 お富、かみそりを構える
🧔
新公
本気かよ……
🔫 新公、短銃を向ける
🧔
新公
じゃあこっちも本気だ。暴れたら撃つ。
お富
……
👘
🧔
新公
お前じゃなくてもいい。猫を撃っても同じだぞ。
お富
それはだめ!三毛は撃たないで!
👘
※自分より先に猫を守る。ここ、価値観がまっすぐすぎて逆に息をのむ。
🧔
新公
……じゃあ交換だ。猫を助ける代わりに、お前は俺の言うことをきけ。
お富
……わかったよ。
👘
🚶 お富、茶の間へ入る
※空気が急に重い。冗談では済まない場所まで来てしまった感。
🤐 新公、茶の間をのぞく
🧔
新公
……いや、だめだ。冗談だ。もう出てきてくれ。
お富
……は?
👘
🧔
新公
悪かった。猫、連れて帰れ。
🐱 お富、三毛を抱える
🧔
新公
でもさ、お富。なんでそこまでして猫を助けた?そこまで背負う話か?
お富
三毛も大事だし、おかみさんも大事。だけど……あの時は、そうしないと気がすまなかったんだよ。
👘
※理屈じゃない。人が自分でも説明できない瞬間に、その人の芯が出る。
🌸 二十年後、上野は花見と博覧会でにぎわう
お富
人、多すぎでしょ……ちょっと待って、あの馬車……
👘
🧔
新公
……
※あの雨の日の男が、今や立派すぎる肩書きと飾りをつけて通過。人生、伏線の張り方が大胆。
お富
やっぱり、ただの人じゃなかったんだね。
👘
🧔
新公
……
お富
まあ、いいか。
👘
※説明できないまま残る記憶ほど、人生の奥でずっと光る。
- ▶理屈で割れない心の動き
- ▶危機で見える人の芯
- ▶忘れられない一瞬が人生を残す
芥川竜之介『お富の貞操』のあらすじ
上野戦争の前夜、避難で無人になった家に、乞食姿の新公が忍び込んでいた。そこへ女中のお富が、置き去りにされた猫の三毛を連れ戻すために戻ってくる。二人は激しくぶつかり合い、新公はお富を脅すが、お富は自分よりも猫を救おうとする。やがて新公は思いがけない形で態度を変え、その場は奇妙な余韻を残したまま終わる。二十年後、お富は思いがけない再会の中で、あの日の出来事を静かに思い返す。
『お富の貞操』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『藪の中』などで知られる。鋭い心理描写と、古典・歴史・説話を現代的な感覚で組み替える技巧に優れた。『お富の貞操』は、明治維新の騒然とした時代を背景に、道徳や理屈だけでは測れない人間の衝動と品位を描いた作品である。
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