女生徒
朝の虚無、学校での気疲れ、母への愛と反発――揺れ続ける少女の一日が、胸に刺さるほど正直に迫ってくる。
🌅 朝、起床直後の脳内ぐるぐるタイム
女生徒
朝ってなんで毎回こんな虚無なの…起きた瞬間からもう負けてる気がする
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※起床5秒で人生会議スタート
女生徒
しかも今『よいしょ』って言った。いやだ。体のどこかに急におばあちゃん成分が出てきた
🎀
女生徒
眼鏡は便利だけど、顔のロマンを全部消してくるのつらい
🎀
女生徒
でも眼鏡外すと世界がふわっとして、みんな優しそうに見えるんだよね。ぼやけ最高
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🐕 庭で犬たちと遭遇
女生徒
かわいい犬には全力で甘くできるのに、かわいそうな犬には逆に意地悪しちゃう。自分の性格、めんどくさすぎ
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※やさしさが不器用すぎて裏返るタイプ
🍚 朝ごはんと登校準備
女生徒
新しい下着に白いバラの刺繍した。外から見えないけど、こういう『自分だけが知ってる優勝』あるよね
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👘
母
私は朝から用事で出かけるからね。戸締まりお願い
女生徒
お母さん、ほんとずっと動いてる。社交力の化身。うちの家の対外窓口すぎる
🎀
女生徒
きゅうり食べたら急に夏の気配して、胸がすーっと空っぽになる感じした。季節って急に殴ってくる
🎀
☂️ 母のおさがりの古い傘を持って出発
女生徒
この古い傘、めちゃくちゃ雰囲気ある。これ持って海外の街とか歩いたら絶対それっぽいのに
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※現実は最寄り駅までの道です
🚶 駅までの道で気まずい出来事
女生徒
道で感じ悪いこと言われた…ほんとこういう時、どうしたらいいの。怒るのも怖いし、黙るのも悔しい
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女生徒
結局、笑ってやりすごした。くやしい。もっと強くてちゃんとした人になりたい
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※平気なふりの消耗、でかい
🚃 満員電車
女生徒
空いてた席に荷物置いたら、知らない男の人に秒で座られたんだけど
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女生徒
いや待って、これ図々しいの向こう? もしかして私? こういうの後から自分にも刺さるのつらい
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女生徒
本読んでると、その本の考えにすぐ染まる。私って自分があるのか、読書でできた寄せ集めなのか、たまに不安
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女生徒
みんな『若い人はこうだ』って言うけど、じゃあどうすればいいかは、はっきり教えてくれないんだよね
🎀
※説教は多い、地図はない
🏫 学校到着
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小杉先生
今日は愛国心について話します
女生徒
先生きれいなんだけど、話がずっと固い…。見た目は青が似合って最高なのに、内容がずっとカチカチ
🎀
女生徒
でも窓の外のバラがきれい。花をきれいって思える人間、そこはまだ捨てたもんじゃないかも
🎀
👻 昼休み、怪談タイムで大盛り上がり
女生徒
怖い話ってなんでこんなに全員テンション上がるの。ごはん食べた直後なのにもうお腹すいた
🎀
🎨 図画の時間、まさかのモデル係
🖌️
伊藤先生
その傘いいね。バラのそばに立って。絵のモデルお願い
女生徒
え、私? この古い傘で? なんか急に作品にされるんだけど
🎀
🖌️
伊藤先生
亡くなった妹を思い出します…
女生徒
重い重い重い。しかも先生ずっと私のことばっか話す。こっちは棒立ちで魂だけ帰りたい
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※モデル30分、心は3時間ぶん疲労
女生徒
自然になりたい、素直になりたいって思うのに、考えれば考えるほどポーズっぽくなるの何
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💇 放課後、友だちとこっそり髪を整えに行く
🌸
キン子
このままお見合い行けそうじゃない?
女生徒
発想の飛び方すご。しかも本人ちょっと本気になってるの笑う
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🌸
キン子
お寺の娘はお寺に行くのが安定だよね〜
女生徒
この子、ふわっとしてるのに妙に人生設計だけ現実的。無邪気つよい
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女生徒
でも髪型、思った感じじゃない…。おしゃれしに行って逆にしょげるのあるあるすぎる
🎀
🌇 帰り道、ひとりで草むらに座る
女生徒
最近の私、なんかだめだ。俗っぽいし、弱いし、ずっと何かにおびえてる
🎀
女生徒
もしかして恋…? いや、それだけじゃない気もする。自分の中が散らかりすぎて特定不能
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女生徒
お父さん…って呼びたくなる時がある。まだちゃんといなくなった感じがしない
🎀
🌆 夕空が急に心をほどく
女生徒
夕空、きれいすぎる。みんなを愛したいって本気で思った。こういう瞬間だけ、ちゃんと生きたいってなる
🎀
※情緒の振れ幅、今日も全開
🏠 帰宅、来客中
👘
母
おかえり。お客さま来てるから、ちょっと手伝ってね
女生徒
お母さん、私と二人の時と、お客さんの前でちょっと違うんだよな…。社交モード入ると遠い
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🍽️ 台所で料理開始
女生徒
今日のごはん、見た目全振りの『ロココ料理』でいく。味はそこそこでも盛りつけで勝てばいい
🎀
※華やかさで押し切る作戦
👜
今井田夫人
まあまあ、お上手ねえ。すごいわあ
女生徒
いや、これ苦し紛れなんですけど…って言っても、なぜかウケる。そうじゃないんだってば
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👘
母
この子も、だんだん役に立つようになりましたよ
女生徒
わかる、わかるんだけど、今それ言われるとちょっと泣きそう…。大人の会話ってしんどい
🎀
📮 客が帰ったあと、少し静けさ
女生徒
人に合わせて愛想よくするのが正解なのか、自分を曲げないのが正解なのか、ほんと毎回わからない
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女生徒
きっちりした生活に縛られたら、逆に楽なのかも。自由って、たまに放置プレイすぎる
🎀
🛁 夜、お風呂と読書の時間
女生徒
体だけ先に大人になっていく感じ、気持ちが追いつかなくて困る。まだ子どもでいたいのに
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女生徒
でも星を見ると、お父さんのこと思い出す。あの頃の私は、もっとまっすぐだった気がする
🎀
🌙 母と二人の夜
👘
母
映画、行ってもいいよ。その代わり今夜ちょっと肩もんでちょうだい
女生徒
え、うれしい。そうやって理由つきで許してくれるの、やさしい…
🎀
女生徒
私、お母さんに甘えてばっかりで、わかったふりして全然わかってない時あるな…ごめんって思う
🎀
👘
母
ああ、いいあんまさん。天才ですね
女生徒
でしょ? 私、それだけじゃないんですけどね。ちゃんと、もっといいとこもあるんです
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※ちょっとだけ、自分を素直に肯定できた夜
🧺 深夜の洗濯
女生徒
大人は『そのうちわかる』って言うけど、その“そのうち”までの苦しさを、今どうするか教えてほしいんだよ
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女生徒
私たち、別に投げやりになりたいわけじゃない。ただ毎日ちょっとずつ痛いだけなんだよね
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🛏️ 就寝前
👘
母
夏の靴、見てきたよ。高くなったねえ
女生徒
そんなに欲しくなくなった…でも、ちょっと欲しい。こういうの、いつも言えなくなる
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女生徒
明日もまた同じ日かも。でも、明日は何か来るって思って寝るしかないんだろうな
🎀
女生徒
今日はカアに意地悪したけど、明日は優しくする。そういう小さい約束で、なんとか寝る
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女生徒
おやすみ。私は王子さまのいないシンデレラ。でも、まだ今日を終わらせるだけで精いっぱい
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- ▶揺れる自意識
- ▶少女から大人への不安
- ▶母への愛と反発
あらすじ
名もない少女が、ある一日の朝から夜までに感じたことを、途切れなく心の声としてたどっていく。眼鏡や服、学校の先生や友人、電車の中の出来事、家での来客対応まで、何気ない日常のすべてが彼女の感情を大きく揺らす。亡き父への思慕や母との距離感、自分が子どもでも大人でもないことへの戸惑いが、日常の細部ににじみ出る。とりとめない独白のようでいて、少女の不安、虚栄、やさしさ、孤独が鮮やかに浮かび上がる。
作者について
太宰治は1909年生まれの小説家で、昭和文学を代表する存在の一人。『女生徒』は、女性の一人称による流れるような独白を通して、思春期の繊細な感情をみごとに描いた作品として知られる。日記文学的な親密さと、太宰らしい自己意識の鋭さが重なり、少女の心の揺れを生々しく伝える。発表当時から高く評価され、太宰作品の中でも特に人気の高い一編である。