凶
何気ない日常の中にふっと差しこむ不吉な気配が、心をじわじわ追いつめていく。
🚕 冬の夜、本郷通りを移動中
僕
タクシー乗った。道、暗すぎない?
🧑
※街灯が少なすぎて、雰囲気が最初から不穏
僕
前の車、なんか妙だな
🧑
⚰️ 金色の飾りのついた葬儀用の車
僕
え、あれ葬式の車じゃん…急にやめて
🧑
※ただの偶然と言い切るには、夜道との相性が良すぎる
🌲 翌年の夏、軽井沢の夕暮れ
👨🦱
室生犀星
この道、静かでいいな
僕
うん…って、上に何かない?
🧑
🌳 枝のあいだから脚が二本ぶら下がって見える
僕
あっ!!
🧑
👨🦱
室生犀星
どうした!?急にダッシュするなって
僕
いや、その…見間違いっぽい。たぶん
🧑
※説明しづらいやつは、とりあえず曖昧にして逃げるしかない
🍶 さらに翌年、食事の席
👔
菊池寛
まあまあ、一杯どうだ
👓
久米正雄
今日はにぎやかだな
僕
ん?ビールびんに顔が映ってる
🧑
僕
しかもこれ、僕っぽいのに目つぶってるんだけど
🧑
💁
芸者
またまた、冗談でしょ
💁
芸者
あ、ほんとだ。なんか見える
👔
菊池寛
どれ…あー、たしかに見えるな
👓
久米正雄
向こうの器の反射じゃないか?理屈はつく
僕
理屈はそうでも、気分は全然よくない
🧑
※現象に説明がついても、不吉さまで消えるとは限らない
🚕 正月十日、また本郷通り
僕
またこの道か
🧑
⚰️ 前方に、あの葬儀用の車がもう一度現れる
僕
また出た…しかも今度は中まで見えた
🧑
僕
これ、ただの偶然で片づけちゃいけない気がする
🧑
僕
何かが、静かに警告してるみたいだ
🧑
※怖い話のいちばん怖いところは、はっきり何も起きていないのに逃げたくなる瞬間
- ▶不吉さは説明できなくても残る
- ▶偶然が重なると心はざわつく
- ▶見えたものより予感のほうが怖い
芥川竜之介『凶』のあらすじ
語り手は、暗い夜道で葬儀用の車を見かけたことをきっかけに、奇妙な光景をいくつも体験する。軽井沢では木の枝の間に人の脚のようなものを見てしまい、食事の席ではビールびんに自分そっくりの不自然な顔が映る。どれも決定的な怪異とは言い切れないが、胸に残る不吉さだけは消えない。やがて再び現れた葬儀用の車を前にして、それらがひとつの警告のようにつながって感じられる。
『凶』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。古典をもとにした作品だけでなく、鋭い感覚で不安や神経の揺れを描く短い随想的作品も多い。この作品には晩年の芥川に濃くあらわれる、日常の中の不穏さや死の予感への敏感さがにじんでいる。
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