鑑定
三円の怪しい山水画をめぐって、「本物かどうか」より「自分がいいと思えるか」を問い直す、痛快で皮肉な一篇。
🖼️ 書斎に三円の山水画を設置
語り手
見てこれ。三円で掘り出した山水画。味あるでしょ
🧑
※安い買い物をした人ほど、声がちょっと大きい。
👥
友人たち
いやこれ、偽物じゃない?
語り手
はい出た、すぐ真贋トークする人
🧑
🎩
滝田樗陰
上から下まで見たけど……うーん、これはダメですな
※わりと容赦ない。鑑定コメントが早すぎる。
語り手
別に作者の名前で掛けてるんじゃないの。絵がいいから掛けてるの
🧑
👥
友人たち
なるほどね〜“無名の天才”ってことにしたいわけか
👥
友人たち
安上がりで済んで助かる趣味だね
※急に“節約系アート愛好家”みたいな扱いを受ける。
語り手
そもそもさ、鑑定家ってそんな何でも完璧に見抜けるの?
🧑
語り手
虫眼鏡ふり回してると強そうだけど、人間でしょ
🧑
👥
友人たち
急に鑑定界全体へ話が広がったな
語り手
サインとか紙とか筆づかいとか、似せようと思えばかなり似せられるじゃん
🧑
語り手
最後は“なんとなく本物っぽい”って勘に頼る部分もあるわけで
🧑
※“勘です”を高級に言うと、だいたい権威っぽく聞こえる。
語り手
しかも、めちゃくちゃ上手い偽物なら作者本人でも迷うことあるらしいし
🧑
🎩
滝田樗陰
それはまあ、絶対とは言えないが……
語り手
でしょ? なら“本物じゃないと言い切れない”絵もあるってことよ
🧑
👥
友人たち
理屈はわかるけど、三円の絵を守る熱量じゃないんだよな
語り手
だからこれは、果亭かもしれないし、違うかもしれない
🧑
語り手
でも絵がよければ、それで十分じゃない?
🧑
👥
友人たち
わかったわかった、もう“無名の天才”はおなかいっぱい
※勝ったようでいて、たぶん半分くらいは流されている。
語り手
いやでも、世の中には怪しい書画を楽しむ人、けっこういると思うんだよね
🧑
語り手
高いだけの新しい絵に大金出すより、自分の目で好きになるほうが自由でしょ
🧑
🎩
滝田樗陰
趣味の独立、ってやつか
語り手
そうそれ。真贋に振り回されず、いいものをいいって楽しみたいの
🧑
📢 最後にひとこと
語り手
ただし骨董屋さん、これを宣伝に使うのはナシでお願いします
🧑
※自由な鑑賞は推すが、商売の追い風にされるのはちょっと違うらしい。
- ▶本物かより“好きか”
- ▶権威もときどき当てにならない
- ▶趣味は自分の目で決める
芥川竜之介『鑑定』のあらすじ
語り手は三円で手に入れた果亭の山水画を床の間に掛けるが、訪ねてきた友人たちから偽物だと笑われてしまう。そこで彼は、鑑定家といえども書画の真贋を完全に見分けられるわけではないと反論し、本物か偽物かを断定する難しさを語り出す。たとえ作者不詳でも、作品そのものの出来がよければ十分に楽しむ価値があるというのが彼の立場だ。真贋に振り回されず、自分の趣味で美を味わう自由が軽妙な皮肉とともに語られる。
『鑑定』の作者について
芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『地獄変』などで知られる。鋭い知性と皮肉、簡潔で洗練された文体を持ち、小説だけでなく随筆や評論でも独自の感覚を発揮した。『鑑定』は、美術や骨董をめぐる権威と趣味の関係を軽やかに論じた短い随筆で、芥川らしい理知的なユーモアがよく表れている。
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