解嘲
随筆は気軽でいいのか、それとも質を問うべきか――文壇の論争の裏に、批評することの誠実さと人間くささがのぞく。
📰 文芸界、随筆バトル開幕
芥川龍之介
中村くんの随筆論、読んだよ。ちょっと一発返したくなった。
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中村武羅夫
お、来たな反論。受けて立つ。
※文学者の「一発返す」は、だいたい長文になる
芥川龍之介
まず確認だけど、芸術にゆとりが大事って話は、別に僕も反対してない。そこは同意。
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中村武羅夫
じゃあ半分は握手ってことで。
芥川龍之介
たださ、ゆとりは心の持ちようだけで何とかなる、みたいなのはちょい違う。
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中村武羅夫
でも金があっても忙しいし、なくても忙しいじゃん。結局メンタルでは?
芥川龍之介
それも一理ある。でも現実には、お金とか環境とか、外側の条件も無視できない。
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中村武羅夫
いや今の時代うるさすぎるでしょ。電車、自動車、飛行機、雑誌、新聞。静かになれん。
芥川龍之介
それ毎時代みんな言ってるやつ。昔の人も昔の人で、当時の騒がしさにキレてたはず。
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※人類、「最近うるさい」はたぶん昔から言っている
芥川龍之介
むしろ自分が生きてる時代の中で落ち着く場所を見つけるしかない。静かすぎても逆にしんどい。
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中村武羅夫
静かすぎても?
芥川龍之介
急に大自然に放り出されたら、たぶん君も僕も数日で落ち着かなくなる。
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🌲 想像上のど田舎サバイバル
※文明に慣れた人間、急な完全オフラインに弱い
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中村武羅夫
まあ芸術なんて、どんな時代からでも出てくるし、形も変わっていいでしょ。
芥川龍之介
変わるのは当然。でも、変わるもの全部を同じ熱量で褒める必要はない。
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中村武羅夫
随筆も同じだよ。昔は昔の名作、今は今の随筆でいいじゃない。気軽でさ。
芥川龍之介
気軽でいい、はわかる。でも『何でもあり』まで行くと話が雑になる。
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中村武羅夫
いやいや、そんな高級品じゃなくていいのよ。見たこと感じたことを素直に書けば。
芥川龍之介
うん、『素直』は大事。でも『あんまり適当なのは困る』って君も言ってるだろ。問題はその線引き。
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※議論あるある:だいたい最後は『その加減どこ?』になる
芥川龍之介
要するに君は僕より寛容なんだよ。それは美徳。でも僕はもう少しうるさい。
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中村武羅夫
認めたな。俺の心が広いって。
芥川龍之介
そこだけ切り取るな。
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中村武羅夫
あとさ、最近の随筆ブームに水差す人、多くない?若い書き手を笑う感じ。
芥川龍之介
そこは同感。若い人をまとめて雑に下げるのは違う。僕も若い側に入れてくれるなら、なおさら。
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※さりげなく自分も若手枠に滑り込む
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中村武羅夫
じゃあ随筆専門の雑誌が出るのも、そんな難しく考えなくてよくない?
芥川龍之介
もちろん雑誌は理想形だけ載せる場所じゃない。でも看板を出すなら、何を良しとするかは考えたい。
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芥川龍之介
あと正直に言うと、僕の前の文章だって完璧に筋が通ってたわけじゃない。少し気分で言い切った。
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中村武羅夫
そこ自己申告するのか。
芥川龍之介
そこを突いてくれなかったの、ちょっと優しすぎて逆に悔しかった。論敵に気を使われるの、地味につらい。
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※ややこしいが、『もっと本気で殴ってくれ』という文学者の面倒な照れである
🗞️ 話題転換、別の文壇ゴシップへ
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藤森淳三
宇野浩二、最初は芥川たちを見下してたのに、あとで急に距離つめたらしいよ。
芥川龍之介
いや、その話は片手落ち。宇野さんだけじゃなく、僕のほうもかなり距離つめに行ってた。
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宇野浩二
お互い様ってこと?
芥川龍之介
むしろ僕のほうが積極的だったまである。そこは訂正したい。
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✒️
藤森淳三
え、そこそんな大事?
芥川龍之介
大事。新しい考えや人に心が動くのは、退屈してない証拠だから。
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芥川龍之介
その『生き生きしてる感じ』を宇野さんに独り占めされたら、ちょっと嫉妬する。
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※最終的に『それ俺にも分けて』という、だいぶ人間味ある着地
- ▶芸術論は結局、価値観の線引きの話
- ▶時代が変わっても『うるさい社会』はいつもある
- ▶知的な反論にも照れと嫉妬が混じる
芥川竜之介『解嘲』のあらすじ
作品前半では、芥川龍之介が中村武羅夫の随筆論に応答し、芸術に必要な「ゆとり」や、時代と作品の質の関係について持論を展開する。現代は騒がしいから清閑が得られないという見方に反論し、どの時代にもそれぞれの騒がしさがあると指摘する。また、随筆は自由であってよいが、だからといって何でも同じように評価してよいわけではないと述べる。後半では別の文壇評を受け、宇野浩二との関係について自分の側の「近づき方」も認めつつ、新しい人や考えに心を動かされること自体を肯定している。
『解嘲』の作者について
芥川龍之介は大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『河童』などで知られる。鋭い知性と皮肉を生かした短編だけでなく、文芸批評や随筆でも同時代の文学状況に積極的に発言した。この作品は、雑誌文化が盛んだった時代の論争を背景に、芥川の批評精神と自己意識の細やかさがよく表れた文章である。
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