Monogatalk

芥川竜之介

世界は自分たちのためにできていると信じる声が、目の前の現実にぶつかったとき、人はどんな理屈でそれを飲み込むのか。
🌿 古い池。草がしげって、夏空が水にきれいに映ってる
※景色は最高。だが池の中では、今日も自信だけは満々の会議が始まっていた
蛙教授
では本日の議題です
🐸
蛙教授
水は何のためにあるか。もちろん、我々が泳ぐためです
🐸
🐸
池の蛙たち
ヒヤア、ヒヤア!
蛙教授
虫は何のためにいるか。我々が食べるためです
🐸
🐸
池の蛙たち
それな!!
※拍手がわりの大合唱。会場の一体感だけはすごい
🐍 池のそばで寝ていた蛇、起床
蛙教授
土は草を生やすため、草は我々に日かげを作るためにある
🐸
蛙教授
つまり大地ぜんぶ、我々蛙のためってことです
🐸
🐸
池の蛙たち
ヒヤア、ヒヤア!!
※根拠はふわっとしてるのに、賛同だけは分厚い
🌞 夏の日ざし、じりじり
蛙教授
空は太陽を置くためにある。太陽は我々の背中を乾かすためにある
🐸
蛙教授
結論。水も草も虫も土も空も太陽も、全部我々のためです
🐸
蛙教授
宇宙、完全に蛙ファーストです
🐸
🐸
池の蛙たち
うおおお!!
蛙教授
では感謝しましょう。神よ、ありがとう――
🐸
その瞬間
🐍
いただきます
※演説、途中終了。現実はいつも入室の仕方が雑
🐸
池の蛙たち
からら、大変だ!!
🐸
池の蛙たち
ころろ、大変だ!!
🌿 蛇、草むらへ消える
🐸
若い蛙
え、待って。全部が蛙のためなら、蛇は何なの?
🐸
年よりの蛙
蛇も我々のためだよ
🐸
若い蛙
その理屈、どう着地するの
🐸
年よりの蛙
蛇が食べなかったら、蛙が増えすぎて池も世界もせまくなるだろ
🐸
年よりの蛙
だから食べられた蛙は、みんなの幸せのための尊い犠牲ってわけだ
※世界観の修正が早い。都合の悪い現実にも、理屈はあとから生えてくる
🐸
年よりの蛙
つまり結論は変わらん。世界は全部、蛙のためにある
🐸
池の蛙たち
……ほんとか?
※たぶん誰かが薄々わかっている。でも、気まずい真実より気持ちいい理屈のほうが人気らしい
  • 自分中心の理屈は簡単に暴走する
  • 現実に負けても理屈だけは生き残る
  • 都合のいい正義は少しこわい

芥川竜之介『蛙』のあらすじ

夏の池で、たくさんの蛙たちがにぎやかに鳴き交わしている。その中の一匹が、まるで先生のように、水も虫も草も土も空も太陽も、すべて蛙のためにあるのだと得意げに語り、仲間たちも大いに賛成する。ところがその最中、近くで目を覚ました蛇が現れ、演説していた蛙をひと飲みにしてしまう。動揺する若い蛙の問いに対し、年よりの蛙は、蛇さえも結局は蛙全体のためにあるのだと言い出す。

』の作者について

芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する小説家で、鋭い皮肉と知的な短編で知られる。『羅生門』『鼻』『藪の中』などで人間のエゴや不安、認識のあいまいさを描いた。この『蛙』もまた、ごく短い寓話の形を借りて、集団心理や自己中心的な論理の危うさを鮮やかに切り取っている。

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