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かちかち山

芥川竜之介

静かな夜明けの海で迎える最後の対決が、復讐の痛快さと、それを見つめる人間の危うさを同時に突きつける。
🌅 夜明け前、海辺。空気がやたら静か。
老人
ばあさん……。
👴
🐇
……つらいな。
※昔話のはずなのに、開幕から空気が重い。童話の顔して情緒が深い。
🌸 花のない桜の木の下に、妻の墓。
🐇
……行くよ。決着、つけないと。
老人
ああ。頼む。
👴
🚣 浜には白い舟と黒い舟。
🦝
お、来たか兎。遅かったな。
🐇
昔話、まだ終わってないから。
🦝
昔話ねえ。お前、ほんと根に持つタイプ?
🐇
根に持つっていうか、やることやっただけ。
※この二匹、会話の温度は低いのに因縁だけはしっかり熱い。
🦝
で、今日は何?また知恵比べ?
🐇
いや、もっと静かなやつ。海の上で。
🌊 二匹はそれぞれ舟に乗り、沖へ出る。
老人
……見える。まだ争ってる。
👴
※見送るしかできない人の目ほど、遠くを見てしまう。
⚫⚪ 黒い舟は沈みかけ、白い舟は波に浮く。
🦝
おい、ちょっと待て、これまずくないか?
🐇
まずいのは今さらだろ。
🦝
こんな終わり方かよ……。
🐇
終わり方っていうか、続きだよ。ずっと前からの。
※昔話の復讐、だいたい執行までが早い。法より先に段取りがいい。
老人
兎……!
👴
🙌 老人は海へ向かって両手を上げる。
🌸 そのとき、花のなかった桜が咲く。
老人
ばあさん、見てるか……。
👴
☀️ 青白い朝日に、海と桜が照らされる。
※めでたい朝焼けみたいな顔をしているが、胸の中はそんなに単純じゃない。
🐇
これでよかったのかは、たぶん簡単じゃない。
老人
それでも、人は拍手したくなる時がある。
👴
※勝った負けたで片づけるには、この童話、後味が妙に大人。
  • 復讐は痛快でも後味は複雑
  • 善悪の争いを見る人間の残酷さ
  • 童話の皮をかぶった大人向けの寓意

芥川竜之介『かちかち山』のあらすじ

老人の妻を失った悲しみの中、兎は老人をいたわりながら海辺へ向かう。浜には白い舟と黒い舟があり、黒い舟には狸が待っていた。兎と狸は遠い昔を思わせる因縁を背負ったまま、それぞれの舟で海へ漕ぎ出していく。やがて老人の目に映る海の上では最後の争いが続き、その結末を見届けるように桜が咲き、朝日が昇る。

かちかち山』の作者について

芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する作家で、『羅生門』『鼻』『蜘蛛の糸』などで知られる。古典や説話をもとにしながら、人間心理や文明批評を鋭く織り込む作風を得意とした。この『かちかち山』も昔話をそのままなぞるのではなく、残酷さや象徴性を強め、童話の奥にある人間の本質を照らし出した作品である。

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