Monogatalk物語 × 対話

芥川竜之介

『槐』は、幼い記憶の中で神秘的だった木が、実際に見慣れることで印象を変えながらも、なお一部の美しさを保ち続ける感覚を描いた随想である。
🌳 ある日、木の名前を思い出す話
『槐』って木の名前、いつ覚えたんだっけな
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たぶん家で聞いた浄瑠璃の『石の枕』だわ
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※本人は別に芸事ガチ勢ではない。実家BGMで自然に覚えたタイプ
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庭に長く育った槐のこずえに、観音さまが現れる…みたいな節だったな
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そうそう、ちょっと不思議でこわい話なのよね
🪨 『石の枕』ざっくり回想
内容をざっくり言うと、旅人をだましてお金を取るおばあさんがいるんだよね
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そこへきれいな少年が宿を求めて来る、と
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で、おばあさんの娘がその少年にひかれて、身代わりになってしまう
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そしたら少年の正体、観音さまだったという展開
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※昔話の急な“実は神さまでした”展開、わりと強い
最後は因果応報ってことで、おばあさんにも報いが来る話だった
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浅草寺にある『姥の池』の由来っぽく語られてた気もする
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🖼️ 浮世絵の記憶
しかも昔、国芳の浮世絵でこの話を見たことあってさ
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ほかの演目より『石の枕』のほうが気になってた
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観音さまの服の線とか、ちょっと西洋画っぽい描き方だったのも覚えてる
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※子どもの頃の“そこだけ妙に覚えてる”ポイント、あるある
🌿 実物の槐と対面
その後、若い槐の木を見たときはさ
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枝や葉っぱがちょっとデザインっぽくて、たしかに神さま出てきそう感あるなって思った
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※木に“神さま演出向き”という評価をつける文学者
🏯 数年後、北京へ
でも四、五年前に北京へ行ったら、もう槐がそこら中にあって
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見すぎて、あの特別感がちょっと消えたんだよね
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詩っぽい気分って、案外レア感に支えられてるのかもしれない
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※“推しが街中にいすぎると尊さが日常化する”現象に近い
とはいえ、青い実のさやだけは今でも風情あると思う
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🍃 北京の道ばた
灰を捨てる道には、槐のさやばかり落ちている
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※最後、ふっと一句。説明しすぎず置いていくのがうまい
  • 記憶は芸能や絵と結びついて残る
  • 見慣れると神秘は薄れる
  • それでも細部の美しさは残る

あらすじ

語り手は、槐という木の名を家で耳にした浄瑠璃『石の枕』によって覚えたと振り返る。その物語や国芳の浮世絵の印象と結びつき、槐にはどこか観音が現れそうな神秘的なイメージを抱いていた。しかし後年、北京で槐を何度も目にするうちに、その特別な詩情は薄れていく。それでも青い実のさやにはなお風流を感じ、最後は北京の風景を一句のように静かに結ぶ。

作者について

芥川龍之介(1892-1927)は大正期を代表する小説家で、『羅生門』『鼻』『河童』などで知られる。古典や説話、西洋文学、美術への深い関心を持ち、鋭い知性と繊細な感覚を生かした作品を多く残した。『槐』は小説というより短い随想に近く、芥川の記憶・美意識・異国体験が凝縮された一篇として読める。

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