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鬼ごつこ

芥川竜之介

夕暮れの鬼ごっこで見たひとつの真剣な表情が、二十年後の再会で胸の奥からよみがえる。
🌆 夕方の町裏。街灯がつき始める
ほら、ここまで来いよ
👦
👧
彼女
待って、ぜったい捕まえるから
🏃 鬼ごっこ中
なんか今日の顔、やけに本気だな…
👦
※遊びなのに目だけガチ。子どもは時々、急に人生の核心みたいな顔をする
🕰️ それから二十年後
🚃 雪国へ向かう汽車の中
👧
彼女
お久しぶりですね
えっ…ほんとに久しぶりだ
👦
※しかも彼は刑務所を出てまだ三日目。再会のタイミングが濃い
👧
彼女
この前、夫が亡くなって…いまは実家のこととか、いろいろで
……
👦
その顔だ。また、あのときと同じだ
👦
※忘れてた記憶、急にフル画質で再生。心だけ十二歳に巻き戻るやつ
👧
彼女
どうしました?
いや…昔、鬼ごっこしたろ。あの時の顔、急に思い出した
👦
👧
彼女
そんな昔のこと、覚えてるんですか
今まで忘れてたのに、今ぜんぶ戻ってきた
👦
🏠 その後、二人は郊外で暮らすことになる
でも、あの本気の顔はもう見ないんだよな
👦
👧
彼女
なに一人でしみじみしてるんですか
※人生、追いかけっこは終わっても、忘れられない一瞬だけはずっと残る
  • 記憶はふとした再会でよみがえる
  • 子どもの一瞬が大人の心を動かす
  • 本気の顔は関係の深さを映す

芥川竜之介『鬼ごつこ』のあらすじ

少年だった「彼」は、町裏で年下の「彼女」と鬼ごっこをしていたとき、彼女の真剣な表情を強く印象に残す。やがてその記憶は歳月の中で薄れていくが、二十年後、雪国へ向かう汽車の中で偶然再会した彼女の顔を見て、忘れていた感覚が一気によみがえる。夫を亡くした彼女の話を聞くうちに、彼は自分の心が十二歳の少年に戻ったように感じる。その後二人は結婚するが、あの鬼ごっこのときのような切実な表情を、彼はもう見ることがない。

鬼ごつこ』の作者について

芥川龍之介(1892-1927)は、大正期を代表する短編小説の名手で、『羅生門』『鼻』『河童』などで知られる。鋭い観察と簡潔な文体を得意とし、人の心理の微妙な揺れを短い作品の中に鮮やかに刻んだ。『鬼ごつこ』は晩年に近い時期の掌編で、何気ない記憶と再会がもたらす感情の深まりを、きわめて静かに描いている。

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