たけくらべ
祭りの熱気に浮かぶ少年少女が、恋や見栄や生まれ育ちの壁にぶつかりながら、子どもではいられなくなる瞬間が切ない。
🏮 にぎやかな下町。祭りと噂と見栄が渋滞中
※子どもの世界なのに、空気はもうだいぶ大人。早熟すぎて先生も胃が痛い
美登利
祭り、なんか派手なことしよ。お金は私が出す
🎀
🧒
正太郎
じゃあ幻灯やろ!店で見せ物みたいにしたら絶対ウケる
😄
三五郎
口上なら任せろって。場は温める主義
美登利
いいね、それ。もう決まり
🎀
🦊
長吉
表町の正太郎、なんか人気あるの腹立つな
🦊
長吉
信如、うちの組の味方してくれ。名前貸すだけでもいいから
📿
信如
けんかはやめた方がいいと思うけど…まあ、そっちの組ってことにはする
※この“まあ”が後で全員の心をややこしくする
🎉 祭り当日
🧒
正太郎
美登利、まだ?みんな待ってるんだけど
😄
三五郎
じゃ、呼んでくるわ。最速で行く
💥 そのすきに乱入
🦊
長吉
正太郎どこだ!今日は逃がさねえぞ
😄
三五郎
え、俺!? なんで俺が殴られてんの!?
美登利
三ちゃんに何の関係があるの!やるなら私が相手!
🎀
🦊
長吉
うるさい、引っ込んでろ
👡 草履が飛ぶ
美登利
っ……最悪
🎀
※祭りの熱気、使い方をまちがえるとただの修羅場である
🧒
正太郎
昨日のこと、ごめん。ほんとに知らなかった
美登利
正太さんのせいじゃないよ。でも、あの話は家では言わないで
🎀
🧒
正太郎
じゃあ機嫌直して。うち寄ってく?絵とか見せる
美登利
…少しだけなら
🎀
🧒
正太郎
今度さ、一緒に写真撮らない?みんなに見せたいくらい似合うし
美登利
ふふ、変な顔に写ったらやだ
🎀
📿
信如
……
※信如、話しかけたいのに毎回“無言で気まずい空気を置いていく係”になっている
美登利
あの人、なんでいつもあんな感じなの
🎀
📿
信如
別に…
※“別に”で全部済むなら文学はこんな長くならない
🌧️ 雨の日。大黒屋の門前
📿
信如
下駄の鼻緒切れた…しかもこのタイミング…
美登利
……
🎀
美登利
これ、使って
🎀
🍁 布切れがそっと投げられる
📿
信如
……ありがとう、って言えないのが今の僕です
※恋と気まずさ、だいたい同じ顔をしている
🦊
長吉
お、信如なにしてんだ。ほら俺の下駄使えよ
📿
信如
え、いいの
🦊
長吉
そういう時は遠慮すんなって
※乱暴者にも、たまにやたら人情がある。人間、単純な悪役では終わらない
💄 季節が進む。美登利に変化
😄
三五郎
美登利、今日はなんか急に大人っぽくない?
🧒
正太郎
すごく似合ってる。めっちゃきれい
美登利
やめて。そういうの、今日は聞きたくない
🎀
🧒
正太郎
え、なんで? 俺なんか変なこと言った?
美登利
ごめん…今は一人にして
🎀
🧒
正太郎
最近、全然前みたいに遊べないな…
😄
三五郎
みんな急に変わるよな。昨日まで子どもだったのに
📿
信如
僕も、もうここには長くいないかもしれない
美登利
……そう
🎀
❄️ 朝、門に水仙の造花が残される
※言えなかったことは、だいたい物に託される。既読はつかないけど、刺さる時は刺さる
- ▶子ども時代は、気づくと終わっている
- ▶恋と見栄と身分が、心をすれ違わせる
- ▶大人になることは少しさみしい
樋口一葉『たけくらべ』のあらすじ
吉原近くのにぎやかな町で、美登利、正太郎、信如、長吉ら子どもたちは祭りや遊びに夢中になって過ごしている。けれど、家の事情や町の空気は彼らをただの子どもではいさせず、見栄や対立、淡い恋心が少しずつ関係を変えていく。祭りの騒動をきっかけに、それぞれの気持ちはすれ違い、特に美登利の心には大きな変化が訪れる。にぎやかな日々の裏で、幼さが静かに終わっていく気配が濃くなっていく。
『たけくらべ』の作者について
樋口一葉(1872-1896)は明治を代表する作家で、わずか24年の生涯の中で『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などを残した。東京の下町や貧しい人々の暮らしを、古典の素養を生かした美しい文体で描いたことで知られる。『たけくらべ』は一葉後期の代表作で、明治の都市空間と子どもたちの揺れる心を繊細に切り取った作品である。
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