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にごりえ

樋口一葉

華やかな店先の笑顔の裏で、愛情と貧しさと意地が絡まり合い、誰もきれいに救われない苦さが胸に残る。
🏮 夜の新開、店の灯りがにぎやか
お力
木村さん信さん、素通り禁止ね。うち寄ってってよ
💃
※営業トークが自然すぎて、断るほうがむずかしい
👘
お高
でもお力、源さんのこと気になってるんでしょ
お力
いやもう昔の話。今さらでしょ
💃
※そう言う人ほど、心の中は全然“今さら”じゃない
🍶 ある雨の夜、見慣れない客が来る
🎩
結城朝之助
君、ただ者じゃないよね。どんな人?
お力
え、私?お姫さまってことでいいんじゃないですか
💃
🎩
結城朝之助
その雑な設定、逆に気になるな
お力
本当のことなんて、言ったら重いですよ
💃
※軽口は得意。でも本音はずっと喉でつかえてる
💌 結城、通うようになる
👘
お高
力ちゃん最近ご機嫌じゃん。あの旦那、かなり本気では?
お力
やめてよ、そういうの
💃
🎩
結城朝之助
お力、酒ちょっと控えたほうがいい
お力
それ取ったら、私ほぼ無音の人になるけど?
💃
※笑って返すけど、笑いの奥にしんどさがあるタイプ
🌙 月の夜、二階座敷
お力
ねえ、下に来てるの、昔なじみの源さんかも
💃
🎩
結城朝之助
会わないの?
お力
会うと面倒になるの。向こうには奥さんも子どももいるし
💃
🎩
結城朝之助
それでも気になるんだ
お力
気になるよ。そういうの、消せないから困るんでしょ
💃
※未練って、捨てたつもりでも急に正面から出てくる
🏚️ 一方そのころ、源七の家
🧕
お初
お前さん、また元気ないね。ご飯も食べないし
🧔
源七
別に何でもない
🧕
お初
何でもなくないでしょ。あの人のこと、まだ引きずってるんじゃないの
🧔
源七
……
※家計は火の車、でも心は別の場所に駐車中
🥃 別の夜、お力がついに本音モード
お力
今夜は止めないで。飲んで、ちゃんと話したい
💃
🎩
結城朝之助
わかった。聞くよ
お力
私ね、こういう暮らしが平気なふりしてるけど、全然平気じゃない
💃
お力
好きな人がいても、そばにいたいのか、持たれたいのか、自分でもわからないの
💃
🎩
結城朝之助
そんなに苦しいのに、どうして笑っていられるんだ
お力
笑ってないと、そのまま沈むからだよ
💃
お力
子どもの頃から貧しくて、親も苦労して、私はずっと息苦しかった
💃
お力
だからかな、まともに幸せを信じるやり方が、よくわからない
💃
※強そうに見える人ほど、折れないんじゃなくて折れ方を隠すのがうまい
🎩
結城朝之助
……つらかったんだな
🍬 盆の夜、子どもに菓子が渡る
🧒
太吉
母さん見て!お菓子もらった!
🧕
お初
誰に?
🧒
太吉
菊の井の姉さん
🧕
お初
……そんなことまでしてくるの
※善意か未練か、それともただの情けか。受け取る側には全部しんどい
🧔
源七
子どもにもらった菓子に当たるなよ!
🧕
お初
じゃあ私は何に耐えればいいのよ
🧔
源七
気に入らないなら出ていけ
🧕
お初
……わかった。この子は連れていく
※生活が壊れる時、だいたい最後の一言がいちばん取り返しつかない
🌃 お力、夜の町へ飛び出す
お力
もう嫌だ。どこか遠くに消えたい
💃
お力
でも結局、私は私のまま生きるしかないんだよね
💃
🎩
結城朝之助
お力?そんな顔して、どこ行くんだ
お力
ちょうどよかった。今夜は、そばにいて
💃
⛰️ その後、町に不穏な知らせが広がる
※噂はすぐ回るのに、本当の気持ちは最後まで誰にも届かない
⚰️ 盆のあと、二つの棺が町を出る
  • 愛と生活はきれいに両立しない
  • 未練は人を静かに壊す
  • 華やかさの裏に深い孤独がある

樋口一葉『にごりえ』のあらすじ

新開の料理屋兼遊興の店「菊の井」で人気を集めるお力は、華やかにふるまいながらも、かつてのなじみ客・源七への複雑な思いを抱えている。そこへ結城朝之助という新しい客が現れ、お力は軽口を交わしながらも、しだいに自分の孤独や生い立ちを打ち明けていく。一方、没落して貧しい暮らしを送る源七の家では、妻お初が夫の未練に苦しみ、家庭は追い詰められていく。華やかな町のにぎわいの裏で、それぞれの思いがすれ違い、やがて取り返しのつかないところへ流れこんでいく。

にごりえ』の作者について

樋口一葉(1872-1896)は明治期を代表する作家で、わずか二十四年の生涯の中で『たけくらべ』『十三夜』『にごりえ』などを残した。貧困のただ中で生活しながら、都市の下層に生きる女性や庶民の哀歓を、鋭い観察と繊細な文体で描いたことで知られる。『にごりえ』は、一葉後期の代表作のひとつで、近代化する東京の片隅にある欲望、貧しさ、そして女性の生きづらさが濃く刻まれている。

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